ナフサ不足が続いているなか、「今後、価格はどうなるの?」「イラン情勢が株価にどう影響するの?」と気になっている人も多いと思います。
この記事では、ナフサの価格推移の見通し、イラン情勢の影響、そして関連する企業の株価への波及について、最新のニュースやデータをもとに、できるだけわかりやすくまとめました。
ナフサ価格の最近の動きと推移
ナフサは、原油を精製して作られる「石油化学の基本原料」で、プラスチックや合成繊維、合成ゴムなど、私たちの生活にかかわる多くの製品の出発点になります。
2025年後半から2026年にかけて、ナフサ価格は基本的に上昇を続けており、2026年3月の日本におけるナフサ価格は約6万2900円/kL(キロリットル)と、約1年間で大きく上がった状況です。
価格の推移をざっくり見ると、おおむね以下のような傾向です。
国際的なナフサ価格も、2026年4月時点で1トンあたり約930ドル前後と、昨年同時期と比べて約7割も上昇しており、近い将来にはさらに上昇する見込みがアナリストによって示されています。
今後の価格推移の見通し(予想)
ナフサの価格は、原油価格、中東情勢、為替レート、需要の変化など、いくつかの要因が重なって決まります。
国際的なデータ提供サイト「Trading Economics」の予測では、2026年中にはナフサ価格が1トンあたり約950ドル前後に、そして1年後には約1040ドルまで上昇する可能性があるとされています。
要因としては、以下のような点が挙げられます。
- 中東情勢が不安定な場合、ホルムズ海峡などの輸送ルートに懸念が出て、輸送コストが上がる。
- 円安が続けば、輸入コストがさらに増えて、日本国内のナフサ価格も押し上げられる。
- 工場の稼働調整やエチレンなど中間製品の減産が続くと、供給側の余裕が小さくなり、価格が下がりにくくなる。
逆に、もし中東情勢が落ち着いて輸送ルートが安定し、工場の操業が戻って供給が増えるなら、価格はやや落ち着く方向に向かう可能性があります。
現在は「価格がやや高く保たれる期間が続く」という見方が、多くの業界レポートや専門家のコメントで共通している印象です。
イラン情勢がナフサにどう影響するか
日本はナフサの約7割以上を中東、特にイラン寄りの輸送ルートを通る原油から精製してまかなっており、ホルムズ海峡はその「命綱」のような存在です。
イラン情勢の緊迫化や、ホルムズ海峡の通行が不安定になると、タンカーが足止めされたり遅れが出たりするため、ナフサの輸入が滞るリスクが高まります。
すでに2026年3月ごろには、一部のナフサ輸入船が遅れるなど、影響が少しずつ現れ始めているとの報告があります。
大手化学メーカーは「短期的には生産に大きな影響は出ないと見ている」としつつも、「紛争が長引けば、影響が広がる可能性がある」と慎重な姿勢を示しており、これも価格が上昇しやすい環境をつくる要因になっています。
イラン情勢がより悪化する場合、予想される影響としては、以下のような点が考えられます。
- ナフサ輸入量の一時的な減少により、在庫が薄くなる。
- 輸送コストの上昇により、輸入価格がさらに上がる。
- 一部の工場で、ナフサの代わりに他の原料を使った生産調整や、減産が進む可能性がある。
一方で、イラン情勢が一時的に落ち着くと、ナフサの輸入量や輸送コストがやや落ち着き、価格の上昇ペースがやや鈍くなる可能性もあります。
ただし、地政学リスクはいつどうなるか予測が難しいため、「一定の価格リスクを覚悟しておく」必要があると見られます。
ナフサ不足と住宅・建材への影響(価格面)
ナフサ不足や価格高騰は、住宅や建材にも少しずつ影響を広げています。
住宅の断熱材、塗料、塩化ビニル管などの配管材、防水材、給湯器やトイレのプラスチック部品など、多くの部材がナフサ由来の原料を使っているため、その価格が上がれば、建築コストやリフォーム費用も押し上げられます。
具体的には、以下のような流れが見られます。
- プラスチック樹脂や塩化ビニルなどの原料価格が上昇し、建材メーカーが価格改定を実施。
- その結果、住宅メーカー・工務店が受け入れた価格を、新築やリフォームの見積もりに反映。
- 一部の工場では、原料の在庫不足により、予定していた減産や工期内に材料を確保しきれないケースが出て、工期の遅れが発生する可能性も。
住宅関連の業界レポートでは、「建材価格の上昇が住宅の建築コストを押し上げ、数%程度の上昇が見込まれる」との指摘もあり、今後も「価格が少し高めの期間」が続くと考えられます。
ナフサ不足と株価への影響(関連銘柄の概要)
ナフサはいわば「石油化学産業のコメ」であり、その価格が大きく動くと、化学メーカーだけでなく、プラスチック製品や塗料、住宅設備など、多くの業種の企業の利益にも波及します。
このため、ナフサ不足や価格高騰は、関連銘柄の株価に一定の影響を及ぼす可能性があります。
大きくわけて、以下のようなタイプの企業が注目されます。
① 直接的な影響を受ける化学メーカー
- 三菱ケミカルグループ、住友化学、ENEOSホールディングスなど、ナフサを使って大量のプラスチックや化学製品を生産する企業。
- ナフサ価格が上がると、原材料コストが膨らみ、利益率が圧迫されるリスクがあります。
一部の化学メーカーは、価格を商品側に転嫁できたり、需要が強く、ある程度の利益幅を確保できているため、株価がはずむ可能性もあるとされています。
② ナフサ不足に比較的強い「勝ち組候補」企業
- 信越化学工業のように、中東依存が少なく、高付加価値製品(半導体材料など)に強みを持つ企業は、ナフサ価格の上昇から得られる利益が相対的に大きくなるとされる例もあります。
- 東ソー、日本ゼオンなど、価格転嫁力が高く、一部では「減産→供給減→価格高→利益改善」の流れが期待される銘柄も、投資家の注目を集めています。
③ ほとんど直撃を受けない企業
- 半導体装置メーカーなど、ナフサ由来の材料を直接大量に使わない企業は、ナフサ問題だけでは業績への影響が小さいとされています。
- ただし、景気全体が悪化したり、製造業の需要が下がると、間接的に影響が及ぶ可能性はあります。
イラン情勢と株価の関係(リスク・機会)
イラン情勢の悪化は、ナフサ価格の上昇につながり、その結果、関連企業の業績や株価にも影響を与える可能性があります。
ただし、同じナフサショックでも、企業ごとに「リスク」か「チャンス」かが分かれるため、一概に「全部の化学株が上がる・下がる」とは言えません。
以下のようなパターンが考えられます。
- 価格転嫁力の高い企業:ナフサ価格が上がっても、製品価格を上げることで利益を確保できる企業は、一時的に株価が強い動きを見せることも。
- 原材料コストが直接跳ね上がる企業:価格転嫁が難しい業種や、需要が弱い企業では、利益率が落ちて株価が下押しされる可能性も。
- 中東依存が少ない企業:原料の調達ルートが安定している企業は、他の企業が混乱するときに「安心感」から資金が集まる場合も。
イラン情勢が長期化すれば、原油・ナフサ価格の上昇リスクが高まるため、株式投資では、以下のような視点を持つことが重要とされています。
- ナフサをどれだけ使うか、中東依存の割合。
- 価格をどれだけ自分の商品に転嫁できるか。
- 代替素材や在庫戦略の強さ。
一般家庭が意識しておきたいポイント
ここまで見てきたように、ナフサ不足や価格高騰は、住宅や建材、食品容器、さらには株価にも少しずつ波及しています。
家庭としては、以下のような点を意識しておくと、不安を少し減らせるかもしれません。
- 住宅やリフォームの工事は、今後数カ月は価格がやや高めになる可能性があるため、工期や予算を早めに確認しておくと安心。
- プラスチック容器や塗料など、ナフサ由来の材料に使われる商品は、値上げや在庫の変動が起こる可能性がある。
- 株式投資では、ナフサ不足が「プラス材料」になりそうな企業と、「マイナス材料」になりそうな企業を分けて見るようにすると、情報が整理しやすい。
また、ナフサショックが長期化した場合、バイオプラスチックやリサイクル素材など、ナフサに頼らない素材の研究や導入が進む可能性があり、将来的には「少しずつ依存度が下がる」方向に向かうと見られています。
ただし、それは数年単位での話であり、現時点では「ナフサに頼る仕組み」が主流です。
まとめ~ナフサ不足と価格・株価の見通し
ナフサ不足は、イラン情勢の悪化やホルムズ海峡の輸送不安、円安などの要因から、ナフサ価格が上昇し、住宅や建材、食品容器など、多くの業界に影響を広げている状況です。
今後の価格推移については、多くのアナリストが「年内もやや高めの水準が続く」と見ており、1年後にはさらに上昇する可能性も示されています。
株価の面では、ナフサを多く使う化学メーカーを中心に、原材料コストの上昇や価格転嫁力の違いによって、銘柄ごとに「リスク」と「機会」が分かれています。
イラン情勢が長期化すれば、その影響はさらに広がりやすいですが、逆に中東ルートが安定すれば、一部の価格上昇圧力はやや和らぐ可能性があります。
家庭としては、住宅工事や買い物のタイミングを見直し、ナフサ不足を意識した「少しだけ先読み」をしておくと、今後の価格や供給の動きに対応しやすくなるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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